どうも、サカモト(@SkmtKari)です。
小さな頃から何冊も小説を読んできましたが、今イチオシの小説家は乙一さんです。
乙一さんの小説の、怖さや残酷さの中に美しさが内包されている文章の書き方が好きです。
乙一さんの作品はほとんど読んでいるのですが、特に好きなのは、『ZOO 2』に含まれている短編、「冷たい森の白い家」。
この短編を読んで、初めて死体の描写を美しいと感じました。
もうひとつのお勧めは『小生物語』。
これは乙一さんのブログを一冊の本にまとめたものですが、お金を出して買う価値があるほど、いろんな意味でおもしろい。
「いろんな意味で」と書いたのは、文字通り様々な角度から楽しめる小説だからです。
それこそ声を出して笑えるほどファニーな日記もあれば、乙一ワールド全開!の少し不気味な日記もあり、実在の人物に混じって架空の人物は出てくるわ、本当にあった出来事の中に想像の世界がはみ出してくるわ、何でもありの本なのです。
「ああ、文章ってこんなに自由に書いていいんだ」と気づかされる本。
ブログを書くときにも参考になりました。
このようにとても乙一が好きなのですが、去年行った軽井沢のペンションで、ある小説と衝撃的な出会いをしてしまったのです。
それが阿刀田 高(あとうだ たかし)の『冷蔵庫より愛をこめて』。
そのペンションの本棚には多くの本が並んでいたのですが、それらの本の中でも、この表紙のビビットな配色と、描かれた人物の不気味さに心惹かれました。
軽井沢の夜は長く、幸い時間もあったので、暇つぶしにと手に取りました。
手に取ったが最後、みるみるうちにのめり込んでしまった。
短編集なのですが、どれも絶妙の不気味さとブラックユーモアに包まれた、現実と非現実の隙間を抉るような傑作ばかりだったのです。
特に最後の数行に込められたどんでん返しがたまらない。
読んだあとに思わず「そうきたか」とため息をついてしまうくらい、意外な結末の嵐が待っています。
文章の印象は、乙一さんのものと非常に似ている印象でした。
阿刀田高さんの方がやや暗さが強いかもしれません。
それでも、きっと乙一好きには、阿刀田高さんの良さも分かるはず。
ぜひ手に取ってみてください。
ぼくは次は『ナポレオン狂』を買おうと思っています。
ではでは。