遠野市は「永遠の日本のふるさと」を市のキャッチコピーに挙げているだけあって、街のあちこちに日本の原風景を感じさせる場所があります。
山と田んぼが一体となった景色や、山に佇む古民家など、思わず目を細めてしまうような風景が広がっています。
でも遠野は広い街。街のあちこちに散らばっているそれらを全て回るには時間がかかります。
しかし一カ所で日本の原風景を楽しめてしまう場所があるので行ってきました。
遠野ふるさと村の「原風景力」
遠野ふるさと村は遠野市街から車で20-30分のところにあります。
この看板が目印。
長くてまっすぐなアプローチを抜けていきます。
入村料(大人540円、小・中・高校生320円)を払って中へ入りましょう。
原風景1:澄んだ小川と美しい雑木林
さきほどの建物を抜けると、きれいな小川に架かる橋が見えます。
涼しげな川の音を聞きながら渡っていきましょう。
淡い緑と木漏れ日が美しい雑木林を抜ければ・・・
原風景2:築◯百年の古民家(曲り屋)
そこには茅葺き屋根の古民家が。
この古民家は「曲り屋(まがりや)」と言い、
広義には、長方形平面の直屋(すごや)[1]に対して、L字形平面の家屋をいう[2]。母屋と厩(馬屋)がL字形に一体化していることから、「曲り家」と呼ばれる。
先日の記事に書いたように、遠野は馬と共生してきた場所です。
その歴史は古く、有名な『遠野物語』にもオシラサマという物語が挿入されています。
このように馬が身近な遠野の人たちは、住まいも馬と一緒に住みやすいように作っていたのですね。
ちなみに、過去に民泊したお宅には、今も馬と曲り屋に住んでいるお宅もあるくらい、遠野では身近な家の形です。
古民家は中も見学することができます。
入ると真っ先に気づくのが、カマドの匂い。
煙突からもくもくと煙が上がっています。
これは茅葺き屋根に虫がつくのを防ぐ効果があるそうです。
火が赤々と美しい。
ここで焼く薪は古民家の裏に山積みされていました。
他にも土間には藁で作ったコンセイサマがあったり、
手作りの輪投げがあったりして和みます。
中は昼間ですが暗め。
谷崎潤一郎の陰翳礼讃の世界を彷彿とさせます。
もちろん囲炉裏は完備。
調度品は昔懐かしの黒電話。
ぼくのおばあちゃん家にありました。
遠野ふるさと村には7つの古民家がありますが、古いものだと江戸時代に建てられたものもあります。
右上の「肝煎りの家」がそうですね。
原風景3:藁葺きの鹿威し
村内を歩いていると、藁葺きの怪しい建物?があります。
外見はティピに似ているのですが、中に人が入れる大きさではありません。
「これなんだろう?」と思って近づいてよくよく見てみると・・・
裏側が鹿脅しになっていました。
水は小川から引いているよう。
様々な映画の舞台にも
このように日本の原風景溢れる遠野ふるさと村は、その貴重な景観から様々な映画の舞台にもなっています。
比較的最近のものでは「蜩ノ記」もここで撮影されました。
岡田准一さんや堀北真希さんと同じ場所に来ていると思うと胸熱です。
村の人に聞いた話ですと、昔ながらの風景が広かっているというのももちろんなのですが、電線が地上に出ていない、というのも映画には大事なポイントのようです。
言われてみれば、時代劇に電線が写っていたら興ざめですもんね。
やはり映画を作る人の目の付け所はシャープです。
日本の原風景を堪能したい人はぜひ
ぼくは年間2-30回は遠野に行きますが、遠野に行く人がいればここは絶対に行ってほしい場所ですね。
後悔はしないと思うので、ぜひお立ち寄りください。