みなさんは映画「めがね」はご覧になりましたか?
ぼくは以前にこの映画を見たのですが、この映画のひとりの登場人物に、これからの移住のあり方を見たのです。
*ネタバレを含みますので注意してくださいね。
もたいまさこさん演じる「サクラ」の暮らし方
この映画の舞台は、緑と海がとてつもなく美しいひとつの島(鹿児島県与論島)。
(リンク先から引用)
人との関わりを避けてこの島に逃避行でやってきた主人公が、そこに暮らす人々やそこでの生活に触れる中で徐々に心の氷を溶かしていく、というストーリーです。
この映画には、「サクラ」という、もたいまさこさんが演じるおばあちゃんが出てきます。
「サクラ」は、夏になるとふらっとこの島にやってきて、夏にだけ開店するかき氷屋さんを切り盛りしたり、主人公が泊まる宿の手伝いをしたりします。
そして時間が過ぎて夏が終わりに近づくと、かき氷屋さんを閉め、またどこかに旅立っていきます。
この「サクラ」の島への溶け込み感が絶妙で、島の空気と溶け合ってるというか、そこで長年暮らした人しか持ち得ない雰囲気を「サクラ」は身につけているんです。
一方、みんな「サクラ」がこの島にいるとき以外に何をやってるかを知らないし、知ろうともしません。
ずっと地域に住んでいるわけでもないし、素性を知っているわけでもないのに、みんな「サクラ」のことが好きで、夏が来て「サクラ」が島にやってきてかき氷屋さんを開くのを楽しみにしているのです。
「サクラ」のような暮らし方は、これからの移住のあり方を考える上で非常に参考になると思います。
「めがね」に見るこれからの移住のあり方
季節によって住む場所を変える
今は地方に移住するとなったら、その地域に深く関わって、それこそ「骨を埋める覚悟で」住む、というあり方が主流です。
でも改めて考えてみると、何も移住先をひとつに限定する必要はないと思うんです。
住む場所をいくつか持って、季節によって住む場所を変えてもいいですよね。
夏の暑い時期に蒸し暑い地域で暮らすより、また冬の寒い時期に凍てつく地域に住むより、暑い時期は涼しい場所へ、寒い時期は暖かい場所へ移動した方が、身も心も穏やかに暮らせますよね。
そっちの方が地球にも優しいですしね。
「サクラ」が夏にだけ島にやってくるように、自分が好きな季節に好きな場所へ移り住みながら暮らしてもいいのではないでしょうか。
地域に深く関わりすぎない
地域への移住の際に多くの人が気にすることのひとつに、地域との距離感があります。
地域は人が少ない分、移住すると消防団なり町内会なり様々な役回りが回ってきて、都会にいる時より休日が忙しくなってしまうという話もあります。
一方、それを断ると、地域の人に嫌われて村八分状態になってしまうこともあると聞きます。
しかし「サクラ」を見ていると、夏にしか島に来ないにも関わらず、島の人々に愛され、毎回来るのを楽しみにされています。
また島の人々も「サクラ」のプライベートなことには立ち入らず、適度な距離感を保っています。
このような絶妙な距離感が、これからの移住には必要なのではないかと思います。
そのような「ユルい」関係性を認めた方がいろんな人が気軽にやってくる地方になるでしょう。
地域に合う仕事を自分で作る
「サクラ」は夏にだけやってきて、美味しいかき氷を振る舞うことを通じて、地域に溶け込むと同時に色んな人に色んなものをもらいます。
「サクラ」はかき氷の対価として、その人があげたいものをもらう(子供だったら折り紙とかでもいい)、というやり方でやっているので、厳密に言えば仕事ではないのですが、その地域に求められるものを与えているという意味で、そこには仕事に通じる学びを得ることができます。
「東京をマーケットに地域で情報発信する」というのも移住における仕事の選択肢のひとつですが、移住先で何が求められるのかを読み取り、その地域に合うものを提供するという仕事のあり方もあっていいですよね。
季節によって住む場所を変えるなら、住む場所の数だけ仕事もあっていいんじゃないかなーと思います。
旅人のように移住する
「サクラ」のような移住のあり方は、ある意味旅人だと思います。
こんな暮らし方ができる社会になれば、もっと地方に行ける人が増えると思います。
というか、ぼくはこういう暮らし方をしたいです。
映画「めがね」は、これからの暮らし方を見せてくれると同時に、景色や雰囲気にとても癒される映画なので、忙しい日々のオアシスとして楽しんでみてはいかがでしょうか。