先日、生まれて初めて歌舞伎を見ました。
サカモト(仮)が見たのは「大鹿歌舞伎」という、長野県下伊那郡大鹿村に300余年前から伝わる歌舞伎です。
大鹿歌舞伎は1767(明和4)年に上演された記録が残る地芝居で、国選択無形民俗文化財に指定されています。江戸から明治にかけては禁令による取り締まりをかいくぐりながら、人々の最大の娯楽として受け継がれてきました。
大鹿村はサカモト(仮)が注目している「日本一美しい村連合」に加盟している村のひとつでもあります。
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見た演目は「頓兵衛住家の段(とんべえすみかのだん)」。
たまたま家を訪れたイケメンに一目惚れしてしまった若い女性が、そのイケメンを殺してしまおうと企むお父さんや下人から、命をかけて守ろうとするお話です。
正直日本の伝統芸能って格式高いイメージがありますし、「楽しむには予習が必要」と聞いていたので、初心者だとストーリーが分からないんじゃないかなーとかいろいろ考えていたのですが、これがほんとーーーーに、おもしろかったです。
役の完成度が高すぎる!
まずはこれです。
俳優さんや女優さんが演じているのではなく、一般の方が演じているにも関わらず、役の完成度がめちゃくちゃ高いのです。
写真は演技が終わったあとのご挨拶の際の写真なのですが、この演目には6人の役者さんが登場します。
お化粧をばっちり決めて江戸時代っぽい衣装を召している方が役者さんです。
このそれぞれの人たちにきちんと役が振られています。
例えばこの写真にはイケメン(右)、イケメンに恋をする若い女性(左)が写っていますが、イケメンはいなせな風貌、若い女性は子どもっぽさは色っぽく振る舞いを演じています。
この振る舞いの完成度が感動するほど高いのです。
ひとつひとつの身の振り方が芸術。
いやほんとハリウッドの有名人を起用した下手な映画よりも断然こっちの方がレベルが高いですよ。
見とれるくらいの美しさで、1.5時間あまりの公演があっという間に過ぎ去りました。
そのときのツイートがこちら。
でも歌舞伎はかなりおもしろかった。主役はイケメン、女性は色っぽく、悪役は鬼気迫り、笑わせ役は滑稽に、ときちんと役割が分かれていて、それぞれがいい味出してる。年月を耐えて洗練され生き抜いてきた芸能なだけある。これを絶やすのは本当にもったいないので陰ながら応援したい。
— サカモト(仮) (@SkmtKari) June 25, 2015
陰ながらどころか全力で応援したいです。
笑いあり涙あり、全然飽きない
役の完成度とも関連するのですが、ストーリーも非常によく練られていて、見ていて全然飽きません。
江戸時代らしく所々にユーモアがまぶされていて、思わず「ふふっ」と笑ってしまうシーンが多数あります。
かと思えば、若い女性が命を呈して愛するイケメンを守りに行くラストシーンではしっかり感動を覚えさせます。
写真は役者が気絶したシーン。
なぜか布におののく二人。
ひとつひとつの役の完成度が高いので、ストーリーと役者の相互作用でいい舞台作品が出来上がっています。
舞台と観客のインタラクションがある!
歌舞伎には「おひねり」という、役者が決めポーズをしたり感動したシーンのときにお客さんが小銭を包んだ袋を舞台に投げ入れる風習があります。
おひねりを投げるときに「よっ!」と声がけを合わせてするのがお決まりのパターンです。
これがすごく盛り上がるんですよねー。
歌舞伎役者が目をきりっと上げて足をどんっと鳴らしながら決めポーズを取るお決まりのシーンでは、歓声とおひねりで会場全体が非常に盛り上がります。
サカモト(仮)は残念ながら後ろの方で見ていたのでおひねれませんでしたが、前の方に座っていたらおひねっていただろうと思います。
ストーリー・言葉は分かります
「とはいっても、歌舞伎って難しいんでしょう?」とお考えの方、全く心配ありません。
少なくともサカモト(仮)が見た歌舞伎は、言葉もよく聞けば理解できますし、ストーリーはあらかじめ配られた一枚ものの資料を読んでおけばすんなり理解出来ます。
また写真の右側に写っている三味線を持った方が舞台の袖であらすじを話してくれるので、それを聞いていれば話の内容は理解出来ます。
歌舞伎は今こそ見るべき「現代の」エンターテイメントだ
現在の映画なんかは漫画の実写化のようなものが増えていますが、歌舞伎の方が圧倒的にレベルが高いというのが実感です。
そちらにお金を使うくらいであれば、歌舞伎を見に行った方が人生の幅が広がると思います。
また似たような映画や舞台が増えてしまっている今こそ、歌舞伎を見る価値があると思います。
300年の年月に耐えてきた芸能は格が違いますよ。
大鹿歌舞伎の次回公演は10月の第3日曜日とのこと。
これは本当におすすめです。このためだけに大鹿村を訪れてもいいくらい価値があります。
5月に大鹿村で行われた歌舞伎の様子は以下のサイトから見ることができますよ。
大鹿村公式サイト
歌舞伎の入門書はいろんなものが出ているので、見に行く前に読んでおくといいかもしれません。